本文へスキップ

力の抜き方

「力を抜こう」と力んでしまう人へ。3割のゆとりと、呼吸から整える脱力

公開 2026.09.26更新 2026.10.04約5分で読めます

窓辺の机に置かれた盆栽と、背骨の模型

この記事の要点

力が抜けないのは
気持ちの問題ではなく、身体が「身構えた状態」から戻りにくくなっていることが多いと考えています。
整える順番
禅の「調身・調息・調心」のように、心より先に身体と呼吸を整えると、力はほどけやすくなります。
3割のゆとり
いつも10割で踏ん張らず、3割を回復と呼吸のために残す。Rooton が大切にしている考え方です。

1. 休んでも、力が抜けない

「休みの日に一日寝ていたのに、月曜の朝から身体が重い」「マッサージで『力を抜いてください』と言われても、抜き方が分からない」。施術で、よく伺うお話です(何人もの方のお話をまとめています)。

忙しい日が続くと、身体は知らないうちに「身構えた状態」のままになります。奥歯をかみしめる、肩がすくむ、お腹の奥(横隔膜や大腰筋のあたり)が固くなる。こうした力みは、自分では気づきにくいものです。

力が抜けないのは、気合や根性が足りないからではありません。身体が、力を入れる・抜くの切り替えをしにくくなっている。私はそう考えています。

2. 心より先に、身体と呼吸から

禅には「調身・調息・調心」という言葉があります。姿勢を整え(調身)、息を整え(調息)、心を整える(調心)。この順番に、大切なヒントがあると感じています。

  1. 調身:まず、身体の姿勢を整える。
  2. 調息:力みがほどけると、ゆっくりした呼吸がしやすくなる。
  3. 調心:呼吸が落ち着くと、気持ちも落ち着きやすくなる。

不安やストレスを感じると、まず「心を落ち着けよう」とがんばる方が多いと思います。けれど、胸が固まって呼吸が浅いままでは、心だけを落ち着けるのは簡単ではありません。先に身体と呼吸から整えるほうが、近道になることがあります。

3. 張りつめたままの弓は、休めない

弓は、矢を射るときだけ弦を強く引きます。射終わったら弦をゆるめ、弓を休ませます。

忙しい毎日は、弦を引いたまま過ごしているようなものかもしれません。首や腰のつらさは、「そろそろ休ませて」という合図とも言えます。痛む場所だけを揉んでも、弦を引いている力(身体の前側の緊張など)が残っていると、また同じ状態に戻りやすくなります。

4. 脱力は、ぐったりすることではない

「脱力」と聞くと、ソファにぐったりもたれる姿を思い浮かべるかもしれません。私が考える脱力は、骨で重さを受け止め、要らない力みを手放した状態です。

頭の重さは、大人で約5kgあります。背骨の上に頭が乗っていれば、首や背中の筋肉は少しの力で支えられます。頭が前に出るほど首への負担は大きくなり、頭を60度前に傾けると、首には約27kg相当の負担がかかるという報告もあります(※1)。

頭の傾きと首への負担シミュレーター Hansraj, 2014 推定モデル

0° 正常な首:首は前へゆるやかなカーブ。耳が肩の真上にあり、頭の重さを骨で受け止めます。首への負担は約5kg相当(頭の傾き約0°)

頭が前に倒れるほど、首の後ろの筋肉は重さを支え続けることになります(Hansraj, 2014 の推定をもとに作図)

アクセルを踏みながら、ブレーキも踏み続けている。休んでも疲れが取れないとき、身体ではこんなことが起きているのかもしれません。

5. 3割のゆとりを残す

Rooton が大切にしている言葉が「心と身体に、3割のゆとりを」です。

いつも10割の力を使い切っていると、急な負担がかかったときに、身体は受け止めきれません。7割の力で毎日をこなし、残りの3割を、回復と呼吸、自分の身体の変化に気づくために残しておく。ゆとりがあるから、日々のクセに気づき、自分で調子を整えられるようになります。

6. Rooton の施術と、3秒の脱力

Rooton では、痛む首や腰を力で押すことはしません。まず、お腹の奥や胸まわりの筋膜を、息を吐くリズムに合わせてゆるめます(Rooton では「3秒脱力」と呼んでいます)。身体が構えていない状態になってから、関節を整えます。

セルフケア(1分):3秒脱力

1. 椅子に座り、足の裏を床につけます。
2. おへその少し下に、両手を軽く添えます。
3. 鼻からゆっくり息を吸い、お腹がふくらむのを感じます。
4. 口から細く長く吐きながら、最後の3秒で、肩とお腹の力をふっと抜きます。
5. これを3〜5回くり返します。
※めまいや痛みが出るときは、すぐにやめてください。

7. 医療機関に相談したいとき

  • 眠れない日や、気分の落ちこみが長く続く
  • 動悸や息苦しさ、胸の痛みがある
  • だるさが長く続く、体重が急に減った

こうしたときは、まず医療機関に相談してください。

8. 杉山から

力が抜けないことに悩む方ほど、まじめで、がんばり屋さんだと感じます。がんばることをやめるのではなく、3割のゆとりを残す。そのための身体の使い方を、一緒に見つけていきましょう。

よくある質問

力を抜こうとすると、かえって力が入ってしまいます。

よくあることです。「抜こう」とがんばるより、息を長く吐くこと、足の裏が床に触れている感覚に気づくことから始めてみてください。

3秒脱力は、いつやるとよいですか?

仕事の合間や、寝る前がおすすめです。1回1分ほどなので、続けやすいタイミングで行ってください。

施術は痛くありませんか?

まず筋膜をゆるめてから関節を整えるので、痛みの負担は少なくしています。刺激の強さは、反応を見ながら一緒に決めます。

参考にした資料

※1 Hansraj KK. Assessment of stresses in the cervical spine caused by posture and position of the head. Surg Technol Int. 2014;25:277-279.

杉山 慶彦

この記事を書いた人

杉山 慶彦Yoshihiko Sugiyama, D.C.

WHO基準カイロプラクター。東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧RMIT大学カイロプラクティック学科日本校)卒業。JCR認定登録カイロプラクター(第2種)。臨床10年。12歳で第5腰椎分離症になり、骨折から20年、自分の身体と向き合ってきました。施術場所は、ACカイロプラクティック中目黒です。

プロフィール

コラムの一覧へ

初回は約60分。

13,000円(税込)